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税制について

相続及び事業承継対策に関連する改正事項
 

1.種類株式の評価方法の明確化

 昨年5月1日に試行された会社法により、種類株式のパターンが類型化・明文化され中小企業の事業承継にもさまざまな利用法が考えられるようになりましたが、相続税法上の評価方法が不明確で活用が進まないとの指摘がありました。次の三類型の種類株式につき評価方法が明確化されます 。

 

(1)配当優先の無議決権株式(いわゆる優先株)

A 原則・・・企業を解散したと仮定し、株主に払い戻される持分(時価純資産)を評価する純資産価額評価方式は普通株式と同様に評価します。

 評価方法について、平成19年3月9日に国税庁から具体的な評価方法が明らかにされています。
   http://www.nta.go.jp/category/tutatu/sonota/hyouka/070309/index.htm

B 例外・・・相続時の納税者の選択により、議決権がないという点を考慮し、無議決権株式について原則的な評価額から5%評価を落とし、評価が落ちた額を普通株式の相続人に加算することも可能とします。

(2) 社債類似株式(一定の期間後に償還される特定の無議決権+配当優先株式)

次の条件を満たす社債に類似した特色を有する種類株式は、社債に準じた評価(発行価額と配当に基づく評価)を行います。
(1) 優先配当を行う
(2) 無議決権株式である
(3) 一定期間後に発行会社が発行価額で取得する
(4) 残余財産分配は発行価額を上限にする
(5) 普通株式への転換権はない


(3) 拒否権付株式

A 拒否権(普通株式+拒否権)は、普通株式と同様に評価する。

B 拒否権付株式(黄金株)とは、株主総会の決議事項について、株主総会の承認のほかに拒否権付種類株主を構成員とする種類株主総会の承認が必要であると定款に定めて特定の株主に対して発行される株式をいいます。

  (活用方法の例)

無議決権株、社債類似株式の活用例
 複数の相続人がいる場合、遺言により、事業を継承する相続人(後継者)には普通株(議決権有)を遺贈し、非後継者には無議決権株式を遺贈する例が考えられます。議決権の集中及び非後継者への財産分与としては社債類似株式の活用が優れています。但し、普通株式を社債類似株式へ変更すると、会社資産に対する持分権が変動し他の株主に対する経済的利益の贈与が起こる可能性高く注意が必要です。

拒否権付株式
 中小企業オーナーが、承継後の経営安定のため一定期間は後継者の独断専行経営を妨げる形にしておきたい場合に拒否権付株式を発行し、後継者への権限委譲後一定期間は拒否権を保有する例が考えられます。ただし、高度成長の成功経験に縛られたオーナーの考えが、はたして今の経営に適しているかという問題は残ります。


(4) 取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度の特例の創設

中小企業オーナー経営者が、自社株を後継者である20歳以上の子供(代表者となる場合等に限る)に贈与する場合、贈与者の年齢制限が60歳に引き下げられ、非課税枠は3,000万円に引き上げられます。

  (改正の内容)

推定相続人の一人(受贈者、20歳以上)が、平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に取引相場のない株式等の贈与を受ける場合には、次の要件を満たすときに限り、60歳以上の親からの贈与税についても相続時精算課税制度を適用できるようになります。この場合、2,500万円の非課税枠を500万円上乗せし3,000万円とすることとなります。

A 当該会社の発行済株式等の総額(相続税評価額ベース)が20億円未満であること。

B 次のすべての要件をこの特例を選択したときから4年を経過する時において満たしていること。
(1) 当該受贈者が当該会社の発行済株式等の総数の50%超を所有し、かつ、議決権の50%超を有していること。
(2) 当該受贈者が当該会社の代表者として当該会社の経営に従事していること。
(3) その他所要の要件 を満たすこと。


(5) 信託法の改正により、信託制度の自由度が大幅に高まり、多様な利用形態が可能となることに伴い、受益証券発行信託など新たな類型の信託に対応する税制が整備されます。
相続税に関連する受託者等の存在しない信託に関しては次のような対応が整備されます。

(1) 受益者の存在しない信託(遺贈により設定された目的信託、委託者の地位を有する者のいない信託で受益者が特定されていないもの等)については、その受託者に対し、信託財産から生ずる所得について、当該受託者の固有財産から生ずる所得と区別して法人税を課税する。
(2) 受益者等の存在しない信託を設定した場合には、委託者においてみなし譲渡課税又は寄付金課税を、受託者においてはその信託財産の価額に相当する金額について受贈益課税を行う。
(3) 受益者等の存在しない信託が終了した場合には、残余財産を取得した帰属権利者に対して所得税又は法人税を課税する。
(4) 受益者等の存在しない信託を利用した相続税・贈与税の租税回避に対しては、次の措置を講ずる。
  A 信託により受託者に適用される法人税率と相続税等により適用される相続税率等との差を利用した
    租税回避については、受託者に相続税等を課税(法人税等は控除)する。
  B 受託者等が特定した時に、世代飛ばしとなる場合には、当該受益者等に贈与税を課税する。
(5) 公益信託については、現行と同様の取扱いを維持する。

  検討された具体的な課題は次のようなケースです。



出所:政府税制調査会資料

参考:遺言執行者が熟知しておくべき質疑事例

 次のとおり、現行法令において公益信託にかかる税務で、遺言執行者が熟知しておくべき質疑応答が国税庁のホームページに掲載されています。

遺言に基づき遺産の換価代金で特定公益信託を設定した場合の相続税及び譲渡所得の課税関係

【 照会要旨】
 被相続人甲の次の遺言に基づき、遺言執行者に指定されたX信託銀行が遺産である不動産の処分、信託の設定等を行った場合の相続税及び譲渡所得の課税関係はどうなるのでしょうか。
(1) 遺産のすべてである不動産と預貯金、有価証券等を遺言の目的とします。

(2) Xにおいて、遺産のうちの不動産及び有価証券を売却処分し、その売却代金と預金の合計額で次のとおり遺贈又は信託の設定を行います。
1. 相続人5名に各200万円(合計1,000万円)を遺贈します。
2. 売却代金及び預金の合計額から、上記@、債務(未払租税公課を含みます。)、遺言の執行に要する費用等を除いた残金で奨学金給付事業を行う公益信託を設定します。
なお、遺言に基づき設定される公益信託は、所得税法施行令第217条の2第1項各号に掲げる要件を満たす公益信託(特定公益信託)です。

【 回答要旨】
1.相続税
 遺言により信託行為があった場合には、その受益者がその信託受益権を遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となります(相法4)が、受益者を特定していない信託については、その信託に関する権利は委託者の相続人が取得したものとして取り扱うこととなります。ただし、この場合、その信託が所得税法施行令第217条の2第1項各号に掲げる要件を満たす公益信託(特定公益信託)であるときには、その公益信託に関する権利の価額は零として取り扱うこととされています。
 照会の場合のように、遺言により遺産を換価し、その換価代金で特定公益信託を設定する場合も、遺産そのものを信託する場合と異なるものではありませんから、換価された遺産のうち、特定公益信託の信託財産とされた金額に相当する部分の価額を零とし、それ以外の部分の価額については相続税の課税対象とすることとなります。
 なお、その区分は、換価された遺産の価額(評価額)に、換価代金から換価費用を除いた金額のうちに占める特定公益信託に充てられた金額又は充てられなかった金額のそれぞれの割合を乗じて計算します。

2.譲渡所得
 遺産の換価処分は遺言執行者において行われますが、この換価処分は遺言執行者の職務(民1012)としてなされるものであり、また、遺言執行者は相続人の代理人とみなされます(民1015)から、遺産の換価処分に係る譲渡所得については、法定相続分に応じて各相続人が申告する必要があります。

【 関係法令通達】
 ・相続税法第4条
 ・相続税法基本通達4-1
 ・民法第1012条、第1015条

注記 :平成18年5月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

出所:国税庁ホームページ


 
 
 
 

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